こんにちは。
メールマガジン「恋歌」も、9回目の発行になりました。
「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。
毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、
第9回発行号のテーマは、
この季節の心模様を映して、
「春情」
ということでお送りします。
凍てつく冬から解き放たれて、
すべての生命が開いていくような春の情景を、
どうぞ、ご賞味ください、、、、。
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ー 春 情 ー
相模野小町 [ 恋 ]
武蔵野式部 [石割桜]
天の羽衣 [ 桜 ]
松ノ木大宮八幡娘 [満開の桜の木の下で]
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[ 恋 ]
あなたと恋に落ちたのは
桜の気配の ようやくに濃くなる
春まだ浅い宵でした
突然 わたしの中に入ってきたあなたに
うろたえながらときめいて
恋することをやめていた身が
みるみるうちに
清水を飲みこみ ほどけていった
脈打つ鼓動の狂おしさ
身体ごとさらう 甘い疼き
ときめきよりも激しいうねりに
自分で自分を抱きしめて
すぐにも駆け出していきたい衝動を堪えた
華やいでゆく身の滾り
輝きを増す命
自分が女であることを
身体の芯から呼び覚まされた春
春の嵐のような
雪解けの激流のような
恋に落ちた時間の衝撃
あのひとときが
生きることを決めた
あのひとときから
あなたと生きることが始まった
-相模野小町-
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[石割桜]
岩を割って立つ桜
寒さの厳しさから解き放たれて咲く桜
その澄みきった桜の木の下で
あなたと待ち合わせた遠い昔
暮れ始めた夕空の色は
恋の予感めいてせつなく美しい
少し遅れてきた貴方を待つ間
はらはらと風に舞う花びらに
目を奪われていた
貴方があらわれた
遠くからでもすぐ判った
花びらがゆっくりと落ちてくるように
貴方は私の元に舞い降りてきた
いとおしい懐かしさに満ちた
時を越えた出会い
瞬間が永遠に変わるとき
-武蔵野式部-
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[ 桜 ]
あと何回桜の花を見れるだろう
いつかの私の言葉
あと何回桜の花を見れるだろう
出会った君の言葉
満開の桜
それほど華やかに
それほど悲しい
優しすぎる
美しすぎる
光のような花
君に会いて
どこまでも澄む心を
はらはらと散りゆく
花びらに乗せて
雪のように
君の心に降り注ぐ
君の命ながかれと、、、
-天の羽衣-
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[満開の桜の木の下で]
なまあたたかい夜風の吹く日
満開の桜の木の下で
妖艶な花の精が迷い出てしまう
そんなある夜
たまらない色気にほだされて
貴方が女であることなど
どうでもよかった
理性は桜吹雪と共に宙に散る
やるせない存在の悲しみはふたりに囁いた
タブーを犯す恐怖は
快楽のむさぼりに拍車をかける
躰を重ねて衝撃が走る
こんなにもやさしくやわらかい
なめらかな肌
吸付くような白い肌
どこまでもきもちいいあなたの躰
知り尽くした魔法の指
おんなの肌の魔力
ああ、もう融けてなくなってしまいそう
どこが触れても触れなくても
とろけるほど感じてしまう
初めての経験
女と男の感覚が行き来して
両性を共有する
吸付くような白肌の至福感に
男が女の躰に執着するわけを理解する
貴女の躰の虜になる
桜の精にほだされた夜
-松ノ木大宮八幡娘-
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「恋歌」第9回号、如何でしたでしょうか。
「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。
わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。
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2002.3.14 「恋歌」第9回発行号
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