:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第8回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」も、8回目の発行になりました。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第8回発行号は、

「命」という題でお送りします。

女として生きていくことには
たくさんの喜びときらめきがあるけれど、
その奥には、
あまりに深い悲しみも抱えています。

生命を育む身体を持っているゆえの
深みなのでしょう。


どうぞ、ご賞味ください、、、、。

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[ 命 ]    武蔵野式部

     返 歌    相模野小町


[命その2]   武蔵野式部

     返 歌    相模野小町

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[ 命 ]


私の胎内に
あの人と私が結ばれた
たった一つの命が生まれた

喜びとともに
ふと不安がよぎる
たくさんの問題を抱えていること
多難なことは判っていた

目の前の困難を乗り越え
たとえどんなことがおころうとも
この命を育てようと決意したとき

安らかな幸せな気持ちにみちて
うれしかった


喜びの時もつかのま
その命は
たくさんの血液と
悲しみの涙とともに
私の体から流れ落ちた


慟哭
叫ぶように泣いた
初めての経験

崩れ落ちそうになる私を
あの人は力いっぱい
抱きとめていたのに


私は 打ちのめされた

小さな命を
育めなかったおろかさを
いくら悔やんでも
悔やみきれない

悲しみのそこに沈み
生きている力が尽きてしまいそうだった

空洞のわたし

子を失った母は悲しい
あの人がどんなにそばにいても
この空洞を埋めることはできない
悲しみを伝える術がない


やるせないまま
出かけたピアノコンサート

命の働きを表現する美しい音色

いつも 始まる前には喜びの予感にみちるのに
何も感じれない真っ白な私

開演のベルが鳴り

沈黙の間合いを置いて
一音目が響いた

その音を聞いた瞬間
閃光のように光が走った

あの子の魂が光に変わったのがわかった


レクイエム


一音一音がはらはらと落ちる涙と共に
輝きながら全てを溶かしてゆくようだ

光になったあの子が共に生きている
きらきらと輝いてる

どうにもならない悲しみは
亡くなったあの子が
光とひとつとなって生きていることがわかったとき
はじめて癒された

私はこの音と光が天に登っていくのを静かに見守っていた 

 -武蔵野式部-


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返 歌 - 命 -


生きる、ということ
生きていくということ

もう二度と立ち上がる術ないほどの
悲しみと慟哭と

それでも
いま、これからを生きるために働くいのちがある

悲しみを乗り越えるたび
ふくふくと広がりゆく生命のひかり

幾多の悲しみを超え
今を生きるあなたは 美しい

-相模野小町-


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[命その2]


好きな人の子ども
あの人の命を受け継いでいる

どれだけ泣いて
どれだけ苦しんだことか
柔らかく小さな命は
私の元を去り
別の人の元に宿った

恨みと苦しみの渦が
私の奥深いところから湧き上がる
一人暗闇の中でうめくようだった

好きな人と他の女(ひと)との愛の証
会わずにすむならよかったのに

その存在と対峙した時
懐かしい表情に
私は凝固したように立ちすくんだ

あなたは誰?
私の戸惑いをよそにその子はめずらしそうに
私を見ていた

ちいさな手
大きな瞳
あの人の面影をそのままに

私の苦しみとは別に
命の暖かさを感じる

あの人の子ども

もう済んでしまったことと
忘れてしまうことができたら幸せだろうに

暗い闇の底
出口はどこにもみつからない

長い逡巡のすえ
ふと胸に明かりがともった
私はこの動かしようもない事実を
素直に受け入れ生きて行くしかないのだ

その明かりを頼りに
明日を生きて行こうと心にきめる

遠い道の先にかすかな光が輝く

春の兆を感じはじめた日

-武蔵野式部-


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返 歌  −命その2−

行き場のない
身体の芯からの嘆きと

やり場のない
暗く激しい感情のうねり あまたの女たちが
この慟哭の中で光を見出せないまま
命絶えていったことを
わたしは知っている

いま、ようやく光を見出し
ほの明く 照らされる道しるべ

今を生きるあなたの
生命の強さと輝きを
きっと待ち望んできた数多の命がある

-相模野小町-


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「恋歌」第8回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.3.7 「恋歌」第8回発行号


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