:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第7回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」も、7回目の発行になりました。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第7回発行号では、
この季節に因んで、

歌人各々の「浅き春」を表現してみました。

この季節、
甘い花の香の気配を感じながらも、
どこか切なく、いまだ手に届かない、
そんなもどかしい想いの中で
もっとも出会いと別れのある時でもあります。

それぞれの「浅き春」は、
あなたにも、
春の気配をお届けできるでしょうか。


どうぞ、ご賞味ください、、、、。

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 ー 浅き春 ー

相模野小町         [おさな馴染み]

松ノ木大宮八幡娘     [生きること]

天の羽衣           [ときめき]

武蔵野式部         [宵闇の花]


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  [おさな馴染み]

巣立ち前のひなどりのように
寄り添って生きた人がいた

胸深く沈む悲しみも
光はじけるような喜びも
いつも 共に分かち合った

お互いに別の人に恋をして
傷ついてはぬくもりに包まれながら
そうやって 幾年を
寄り添って生きた          

いつしか大人へと移る季節の中で
道を分けてしまったけれど

別れるときにあなたが言った
これも愛だったねという言葉に涙あふれて
春 まだ浅い香の中で
ふたりして長いこと泣いたね

一緒に生きた時間の
あまりに豊かでやさしかったこと
あたりまえのように
ずっと傍にいてくれるような気がしていた     

ありがとう
あなた

今も
あなたと過ごしたぬくもりのときを
身体の奥に覚えています

 -相模野小町-



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[生きること]

生きてるといろんな事が起こる。

生きてるすべてを否定されたような
辛い別れもあった。
恋も、仕事も、暮らした場所も
同時に消滅した。
もう二度と、
陽は昇らないのだと思えた夜を
幾晩も過ごしていた。
何を見てもつらく、
何をしてても涙があふれてきた。
泣き顔のまま、歩いてた。
もう誰も、好きになったりしない。

自虐。
気を紛らせるために何でもした。
誰にでも抱かれて自分を嘲笑った。


二度と、朝が来なくてもいいと思っていた私にも
毎日、朝は訪れ
少しづつ、春が近づいて来る。

貴方に会う。

はるか寒冷の地でみたオーロラのこと
話をするまっすぐな瞳。
彼の見た壮大な空間のドラマは、
臨場感を持って目の前に再現される。
グリーンの光が龍のようにうねる夜空。
今、二人の内に同じ経験が広がっていく。
360度のパノラマの夜空に
展開するエメラルドグリーンの光。
より強く、より深く、鮮やかに。

彼が話すほど
空気は澄んでいく。
空気の粒子は光を帯びて
あたり一面輝きを増す。

時はしずかに満ちていく。

こんなきれいな人がいるのかと
私の中で何かが変わりはじめる。
すこしづつ、すこしづつ、
涙の氷が溶けてく音が聞こえる。

もう少しで一人で生きていける。
ちゃんと前向いて生きていける。

きっと、
また大切なものが生まれる。
きっと、
また恋をする。

きっと、
命芽吹く春はやって来る。

やさしい光が生まれたのがわかったから。

 -松ノ木大宮八幡娘-


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  [ときめき]

体の中に
新しい光が生まれた
新しい出会いの予感

いそいそと紬を出し
陰干しする

どんな人に会えるのだろう
まだ見ぬ人のために
帯を選ぶ

まだ見ぬ人に
胸がときめく
恋いの予感

 -天の羽衣-


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[宵闇の花]

春浅き日の夕暮れ時
あなたに逢いにゆく道すがら
木々がいっせいに花咲くようにみえた

空気はやんわりと濡れ
つぼみが膨らみきってはじけそうな
嬉しさに満ちている

春浅き宵闇の芳しいかほりに包まれ
どんな逢瀬になるのかと心が躍る

あなたとの時
ただ側に要るだけで
それだけで幸せで
身のうちから華やいで

あなたは私が私であることが
そのままで美しいということを
教えてくれた

二人の時の余韻を残したままの帰り道
世界中で静かに花が咲き始めた気配がした
まだ浅き春の闇に浮かぶ花
風は冷たくとも
美しく光輝いて
体中から
微笑みと幸せがあふれてきた
花の微笑む音が
遠くまで響き渡っていった

-武蔵野式部-


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「恋歌」第7回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.2.28 「恋歌」第7回発行号


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