:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第56回  * * *
             2003.11.6


こんにちは。皆様いかがお過ごしですか。
メールマガジン「恋歌」第56回目の発行です。

暦も11月となり、秋もますます深まりましたが、
皆様はどんな秋を過ごされていますか。

空気が澄むこの季節は
人の心も澄んでいく――

今回は出雲頼通特集をお送りさせていただきます。

どうぞ、ご賞味ください、、、、

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出雲頼通特集   [ 秋の空 ]
         [ ひと ]
         [ 通勤電車 ]
         [ 悔しいけど ]
         [ 秋 ]

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 [ 秋の空 ]


青く澄んだ空に
冷たく透き通った空気に
人の心も澄んでいく
そんな季節に――


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 [ ひと ]


バイトでチラシ配りをしてた
目の前を通り過ぎる 人 人 人
冷たく強張った顔をした人
楽しそうにじゃれながら歩く人
だけど
幸せそうな人も そうでない人も
みんな自分の世界の中だけで生きてるみたい

そんな時
ふと目が合った人
何故だかわからないけど
思わず顔がほころんでしまった
その人も
なつかしそうな顔をしてにっこりと笑って
チラシを受け取って過ぎ去って行った

名前も どこで何をしてるかも知らない人
でもどこかで通じ合っている人
たった5秒の出会いに
僕の心は熱くなる

この広い都会の雑踏の中でも
瞬間 瞬間
そんな出会いは
きっと もっと
あるはず――


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 [ 通勤電車 ]


降りる駅が近づいた
落ちつかない手つきで新聞をたたむ
電車がホームに入るなり
思わず君の姿を追い求める
いるはずもないのに――

ここは君が住む街
どういう因果かこの街で働くことになった
そして君はこの街から
僕の住む街へと通ってるんだね
だから――
この時間にこの駅に君がいるはず
ないんだけど――

同じ電車を同じ時間に逆方向に乗ってるなんて
そんな行き違い 今の二人そのままだね
そう いつの頃からだろう
気持ちが行き違うように
なってしまったのは――

よっぽど早く来て
この駅で君のこと待ち伏せしようかなんて
そんなことも考えたけど
やっぱり無茶はしない
君とは 会える時は会えるし
会えない時はどうしたって会えないから

この街の朝の清々しい空気を
君も吸っているのだろうかと
その空気を一杯吸い込みながら
僕は新しい職場へと向った――

 

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 [ 悔しいけど ]


結局は 来るべき時が来たってこと
知らなければいけないことを知っただけのこと

悔しいけどさ
君が僕のこと相手にしなくったって
僕のことどんなに無視したって
君のこと好きな気持ちには変りなくて

悔しいけどさ
こうして君にフラれてはじめて
それでも君のこと好きだって
自分の気持ちの確かさに気づいたりして

悔しいけど
でも きっと
これからもずっと君のこと好きでいるだろう
どこにいたとしても
ずっと君の幸せを願っているだろう


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 [ 秋 ]


聳え立つビルの谷間の街路樹
ふと気づくと木の葉の色も紅くなり
ああ こんな都会にも
秋は来たのだ と思う
そう思って見上げると
秋晴れの明るい空の色を反射して
ビルたちも青く輝く
やっぱり 好きだな この街

そんなこと思って立ちつくしていると
カサ と目の前に落ちる紅い葉っぱ
何故かその時 君のこと思い出してた
そう言えば いつか
桜の花びらに君を感じたことがあったっけ
もしかして
この葉っぱも君なのかな

すると
カサ カサ カサ
突然吹き出した風に舞うように
紅い葉っぱが僕に降り注いだ

今 君はどこでどうしているんだろう
この大都会のどこかで
やっぱり同じ都会の紅葉を見ているんだろうか

この美しい瞬間を君に


−出雲頼通−

 

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「恋歌」第56回号、如何でしたでしょうか。

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引き続きお寄せ頂けましたら大変うれしく思います。
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2003.11.6 「恋歌」第56回発行号

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