:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

            * * * 第54回 * * *
               2003.9.4


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       メールマガジン「恋歌」不定期配信のお知らせ
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いつもメールマガジン「恋歌」をお読み頂きありがとうございます。
昨年2月よりスタートした、メールマガジン「恋歌」も、
一年と半年続いて参りました。
日本人の魂 日本人の恋心よ蘇れと始めた連歌スタイルの恋歌は、
それぞれの歌人の内側から迸り出た熱い心情を書き綴り、
創り手である歌人が、互いの表現に触発されながら、更なる表現を生み出した
独特のメールマガジンであったと思います。

今年の4月には幸いにも一冊の本として纏めることができました。
まだまだ未熟な私達の表現であったのに、
時には熱いメッセージをお寄せいただき読み続けてきて下さった
読者の皆様には心より感謝申し上げます。

このたび、誠に勝手ながらメンバーの話し合いにより、
しばらくの間、配信を不定期とさせて戴くことを決めました。
それぞれの歌人は「恋歌」の場で、表現することによって、
自ずと変化してきました。
書き続けていく中で新たに生まれているそれぞれの何かを、
次のステップに向けて表現するための
充電の期間とさせて頂きたいと考えております。
不定期の配信となり、折に触れての単発での配信で
皆様にお目にかかることとなると存じますが、
その時はまたどうぞよろしくお願いします。

また、このような新しい状況の中で、
それぞれの歌人の新たな活動を
ホームページのプロフィールコーナーで紹介するなど
新しい企画も進行中です。是非楽しみにしていて下さい。

なお、現在連載しております番外編に関しましては
これまで通り隔週木曜日の配信で連載を続けさせて戴きます。
引き続きご愛読下さいますようお願い申し上げます。

本日は長らくお読み頂きました皆様にお礼の気持ちをこめて
歌人たちの「今」を恋歌にしてお届けさせていただきたいと思います。

どうぞご賞味ください。。。



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相模野小町      [ ただ好きということ ]

武蔵野式部      [ 貴方へ ]

松ノ木大宮八幡娘   [ あなたへ ]

出雲頼通       [ 木曜日の朝に ]

天の羽衣       [ こいうた ]


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[ ただ好きということ ]


はじまりは
ただ
好きということ

人として目覚め
向かう先は
平和

恋をして
人を好きになり
生きはじめる命の
向かう先は

平和

命懸けて
平和実現にむかう力

誰も犠牲にならない世界を創る
必ず
愛の時代を創る

そのはじまりは
無防備に
ただ
人を好きになること

ただ
命まるごと
誰かのために
生きはじめること


−相模野小町−



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[ 貴方へ ]
 

はるかなる時の彼方から
私の元に届いた光を
そのまま貴方に伝えたい

この胸の熱さも
この身を駆け巡るときめきも

見えない暗闇の中から
なにかを探す

胸にある悲しみ

ふっとわかる瞬間に
凝固したものが緩んで迸る

熱く湧き上がってくるものから
言葉が生まれる

貴方に伝えると
涙あふれて、、、

どうぞ聞いてください
私の中に生まれている光を

どうぞ伝えてください
貴方の胸の熱き鼓動を

貴方とわかりあう時
うれしくて

喜びにみち
ひとすじの未来が見えてる


−武蔵野式部−



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[ あなたへ ]


どれほどお逢いしたいと
この躰が望んだことでしょう

躰があなたの指を予感してしまう

このせわしい日常を離れた
優雅な はじまりのひととき
その記憶に
また身を委ねたいと望んでしまう

あなたに逢える喜びは
浴衣着付ける所作にも表れ

あなたに抱かれて
女になり



もっとお話したかった
もっと一緒にいたかった
もっと
もっと

余裕のあるあなたに宣戦布告

電話もメールも気軽にできないあなたに
表現手段が制限される関係に

大人なあなたに

誠実な人だから
困らせてみたい

あなたのお行儀のよさ
崩してみたい


−松ノ木大宮八幡娘−



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[ 木曜日の朝に ]


眠りから覚めたのは
枕元で鳴る甘美なメロディ
そう
君からメールが入ったことを知らせる
無機質なはずの着信音が
かくも甘い響きをもって
僕の新しい一日をはじめる

メールの文章に胸が熱くなるのを覚えながら
今 この時
君と気持ちが通じ合っていることを知る
今 この瞬間
この小さなディスプレイの向こうに君がいる――
どうせなら
こちら側にいてくれて
一緒に朝を迎えることができたら
なんて思いつつ

わかっているのさ
どこにいても どんなに離れていても
本当に大事なのは
こうして気持ちが通じ合ってこと
それが一緒に生きてるってことだって
だからうれしく思うんだ
新しい朝が
君と共にはじまるのをね

   * * *

美しい時間(とき)がありました
いえ
思い出にひたっているのでないのです
その美しい あなたと共にした時間のすべては
僕の「現在(いま)」をつくっているのだから

そう それは
美しい時間だったのです
恨んだこともあったのです
こんなにも好きなのに どうしてわかりあえないのかと
どうして僕は男に生れ あなたは女に生れたのかと
でもそれでよかったのです
そんな異質な存在の二人が何故出会ってしまったのか
何故好きになってしまい
一緒に生きていきたいと願うようになったのか
そのすべてが
美しい時間だったのです

今――
時代の波が大きくうねる中で
二人ともそれぞれの道を歩みはじめる
きっとこれまで以上に会うことも少なくなるでしょう
それでも
同じ方向を向いて 気持ちひとつで生きてるのなら
またいつか会える
いや いつも一緒なのだと
そう思うのです

だって――

二人の間には
美しい時間があったのだから
それは未来へとつながる時間だったのだから

この美しい時間たちに
あなたと出会えたことに感謝しながら

新たなる旅立ちの時


−出雲頼通−



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[ こいうた ]


誰にも言えずにいた恋する気持ちを、歌にしてひとつひとつ詠ってみると、少し
ずつ自分のやるせない気持ちも紐解けていくようでした。誰かに出会う時は、胸
にときめきがあり、新しい光を感じます。日本人の恋は命の働きのように感じま
す。空間すら変えてしまう出会い・・・こい。光の柱が立つところを目指し旅立
つ。そこが男と女の出会う場所。そんな古くからの日本人の「こい」の感覚は
今、身の内深く眠っているのでしょうか?

いとしい人を乞う。胸の中で声が響く・・・・「来い」と、力強く。貴方が呼ん
でくれたように、私も呼び掛けていたのでしょうか。身の内を解放してくれる貴
方に。私は、貴方との出会いの時に虹を見ると、奇跡の時を待ちました。はたし
て、空には鮮やかな虹を見、子供の頃観た幻を現実としました。何年も身の内深
く秘め、誰にも語らずに生きて来たことを貴方は一瞬のうちに解り、乞うても、
乞うても、生身の身体で会えるとは、到底思えなかった私の乞いは貴方に辿り着
いたのです。「たったひとりわかってくれる人がいたら、人は生きていける」と
貴方は言った・・・。この「こい」は生きる力となりました。

貴方に出会い、生き始めた私はやがて恋いをしました。それはとても悲しい恋と
なりました。一瞬にして宇宙空間に大きな光を放った出会いでありながら・・・
・・。そうして私はこいうたを綴りはじめたのです。それは私が彼に恋した証と
なりました。私は生身の体で恋をしました。女の体で恋をしました。ただ溶け
合って、ひとつになりたかった・・・。日本人のこいは生身であり、聖なる空間
とひとつであった・・・と考えるのです。だからこそ、ひとつひとつ言葉を紡い
で、うたうのです。女として生きるこいうたを・・・・。


−天の羽衣−


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「恋歌」第54回号、如何でしたでしょうか。

メールマガジン「恋歌」は冒頭でもご案内させて戴きました通り、
不定期での発行となりますが、
みなさんからの投稿、ご意見、ご感想など
引き続きお寄せ頂けましたら大変うれしく思います。
今後もどうぞよろしくお願いします。

恋歌・返歌・ご感想などのあて先は・・・
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2003.9.4 「恋歌」第54回発行号

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