:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

            * * * 第48回 * * *
                2003.6.12
  

こんにちは。
メールマガジン「恋歌」第48回目の発行です。

恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい
そんな気持ちで始めたのが、
このメールマガジン「恋歌」です。

いのちのはたらきである日本人の「こい」は
自然空間とひとつに溶け合い
ひとりでは解くことのできない
さまざまな感情を昇華する

水無月
恵みの雨に洗い流される生命
雨上がりの晴れやかな空に
解き放たれる

第48回発行号は、

「ときはなたれる命」をテーマにお届けいたします。

どうぞご賞味ください。


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天の羽衣       [ はじまり ]

相模野小町      [ 再会 ]

出雲頼通       [ いのち ]

武蔵野式部      [ 閨(ねや) ]

天の羽衣       [ 願い ]

相模野小町      [ 至福 ]


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 [ はじまり ]
 

ひとつ
ひとつ
またひとつ

すべてが解かれ
放たれて行くための

はじまり


−天の羽衣−


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 [ 再会 ]


萌え立つような緑の大地で
懐かしい人に出会った

初めて会う人
けれど
遠い昔にどこかで逢った人

遥かなる記憶を
身体に問うひととき
あなたの言葉に
永い永い時を想う

気が遠くなるような時の流れ
悲しみと共に生き

いつか
解き放たれる時を
待ち望み
待ち望んで委ねながら
あまたの命が逝った

悲しみがすべて
生きる力と変わるとき

閉ざされた生命の記憶が
ようやくにして
陽を浴び
躍動を始める

光の時代がはじまる


−相模野小町−


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 [ いのち ]


――あら、そんなことしなくていいのに

見舞いに持っていった花を
窓辺に置く僕への言葉

――来てくれるだけで、それが一番嬉しいの

ほんとにそうなんだろうなぁ と思う
君の明るく輝く顔を見てると
本当にこの人病気なんだろうか と

ベッドの中で退屈してる君は
お茶でも飲もうと
いそいそと食堂まで案内する

お茶を飲みながら
とりとめのない話
病気のこと 仕事のこと

いつもの楽しい感じに
病院にいること 君が病気だってこと
忘れてしまう

いのち――って

こうして一緒に生きてる時間の中で
育まれ 輝いていくものなんだね
楽しそうな君の顔を見つめながら
そんなことを感じてた

明日また来るよ
その時はどんな元気になってるかな


−出雲頼通−


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 [ 閨(ねや) ]


あなたとのいとしい時
あなたの顔が明るく輝く

互いが満ち足りた
笑顔になるのが嬉しい

ぬくもりがせつなく
肌から伝わってくる

慈しみが溢れて
溢れて

あなたとわたし
優しく
まどろむ

体を重ねたまま
生まれたそのままで

いつしかひかりゆらめいて
とけてゆく

あなたの腕の中で
解き放たれた命


−武蔵野式部−


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 [ 願い ]


もう一人の自分に会う
すべての答えを得るために

男である
もう一人の自分

光は光を呼び
出会いは新たな空間を創る

触れるより先に
体はわななき
至福に産声を上げる

女である
もう一人のあなた

産声は空を震わせ
かなしみも
いたみも
うらみも
光のうちに溶かし
天へと上る

すべてが解かれる時


−天の羽衣−


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 [ 至福 ]


まもるものなく
抱(いだ)きあう
無防備に

素肌かさね
融けゆく
いのち

男と女
生まれてきた
喜びと愉悦を
その姿を
宇宙が祝福する

身体の芯が溶け
時空超えて

解き放たれる
いのち
ひとつ

身に纏うもの無く
まもるもの無く
抱(いだ)きあう
あなたとわたし


−相模野小町−


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「恋歌」第48回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。

 


*' *' *' 単行本「恋歌」情報 *' *' *'

「恋歌」が本になりました。
書店にてご購入またはご注文下されば幸いです。

●タイトル:恋歌(れんか)
●著者:恋歌編集部
●発行:新風舎
●本体価格:1,800円
●ISBN:4-7974-2794-9

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2003.6.12 「恋歌」第48回発行号

 

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