:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

           * * * 第37回 * * *
    

こんにちは。
メールマガジン「恋歌」第37回目の発行です。


恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい、、、
そんな気持ちから、

昨年の2月1日に、メールマガジン「恋歌」を
創刊し、はや1年が経過いたしました。

前回号より、1周年記念企画として
歌人ひとりひとりの特集を毎週連続でお送りしています。


1周年記念特集・2番手の歌人は、
武蔵野式部です。

ある日ある時の
恋人たちの風景、
それぞれの恋人たちの、
やさしく静かな情景、、、、

ほのかに温かい、甘い風のような歌を、

どうぞ、ご賞味ください、、、、

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武蔵野式部特集     [ 出会い ]

            [ 御伽噺の夜 ]

            [ 再会 ]


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  [ 出会い ]


旅の途中で尋ねてきた人
一度だけ恋文をもらった
かわしたのは言葉だけで
会うのははじめてだった

待ち合わせをしてたのに
なかなか会えない

携帯電話で確認する
さわやかな風のような声が
からだにスッとはいってくる

やっと出会えた時
印象とはかすかに違ったが
私は好ましく感じた

ぽつぽつと話しながら地下鉄に乗り
なじみのある駅に降りる
予約していた店を探しながら歩く

繁華街から少し奥に入り込んだ
店までの通り道
久々に感じる沈黙の時の心地よさ
恋の粒子は密かに浸透してくる

しゃれた店にはいっての楽しい会話
初めて会っているのによく知ってるという
不思議な会話を楽しんだ

帰りの時を気にしなくてはならないことが
うらまれる

店を出て無言のまま歩く
酔った体に心地よい夜の空気

この道がずっと続いてくれたらよかったのにと
乙女のようなことをちらっと思った

恋の道行き

明るい駅の光が近づき
とうとうついてしまった

彼は笑顔で帰っていった
もしかしたら二度と会えないかもしれない人

一人の帰り道
私の体は余韻に満ちていた

あのひとも幸せだったかしら


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 [ 御伽噺の夜 ]


ここは小さなマリーナ

沢山の戦車のようなヨットが並ぶ
外国みたいにしゃれた風景の
その反対側にはなんとも不思議な漁港がある

ゆらゆらと舟がゆれ
こんな小さな舟で沖まで魚を捕りにいくのかしら

波にきしむ舟の音
黒い小山のような魚網の山
真夜中の漁港にはウミネコが鳴いていた

君と私はその漁港のコンクリに寝転がって
星を見ていた

「あっ、、流れ星だ」
「どこどこ、、見えなかった、、」

少しすると

「あっほら流れ星」
「えーー、また見えなかった、、」

君ばかりが流れ星を見つける

ふてくされた私は
えいっと君の手を握る

「手ぐらい繋いでみようかな」
笑って君は握り返す

二人で見る星はきらきらしとして
セルロイドみたいな海面にも写っている

「ずっと星をみていると解かるんだよ、、」

温かい手のぬくもり
久しぶりにからだがのびのびとする

このまま君の横で星をみながら眠れたら
気持ちが良いのにな

「あ、流れ星、、、」
君の声が私の体に浸透する

ひんやりとした夜気が心地よい
ここは小さなマリーナ


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  [ 再会 ]


ずっと離れていた

いつも忘れようとした
考えないようにしていた

ふと気が付けば
あなたを思い出し
うらむこともあった

あなたの悲しみが突然
襲ってきたとき
何が起こったのか
わからなかった

そのときも私は
気が付かない振りをしていた

そんなとき
あなたと再会した

唐突に全てを体で理解した

ひとつの大きな悲しみを
乗り越えてきたあなたは
すこし優しい笑顔で
笑いかけた

よく知ってるあなたのこと
あなたの気持ちは
そのままわかっています

「ありがとう」と言うあなた

あなたを心の中で
抱き締めて
私も微笑み返した

大人になったね

色とりどりの心模様も
いつしか澄んで

それぞれの時の重みを
私は静かに感じながら

その永い時を経た事を
そっと感謝していた

-武蔵野式部-


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「恋歌」第37回号、如何でしたでしょうか。

1周年記念特集・次週の歌人は出雲頼道です。
どうぞお楽しみに、、、、。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2003.2.6 「恋歌」第37回発行号

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