:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第32回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、32回目の発行です。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第32回発行号は、
「木枯らし」をテーマにお届けいたします。


北の地では雪の知らせ
 ここ東京は 木枯らしの季節。

張り詰めた空気の中、
 黄金の樹々、落ち葉、北風、、、


あなたのところに吹く木枯らしは
どんな風でしょうか。

どうぞ、ご賞味ください、、、、


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 松ノ木大宮八幡娘  [さよなら]

 武蔵野式部     [枯葉降る街]

天の羽衣       [心根(こころね)]

 相模野小町     [ぬくもり]

出雲頼道      [僕にできること〜東京風景3]


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 [さよなら]


あなたの半端さ許せずに
荷物持って部屋を出た朝

なにか言いたいことあったのではと
気持ち言えないあなたのこと
ふと気になって
最後に一目みたくなって

見に戻った
寒空の歩道橋まで

荒川走りに行くつもりと
クールに言ってたあなた
通るはずの橋下に
赤のヘルメット探して
立ってたの
少しだけ

葉を染めた街路樹
辺りを彩り
可憐な木の葉に慰められた

この街に来はじめて3ヶ月
もう 木枯らしの季節


 -松ノ木大宮八幡娘-


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 [枯葉降る街]


青春の日々
つらい別れをして
手折られた若木のような心のまま
よりどころを求め辿り着いたパリ

枯葉の降る街

時も空間も彼から遠く離れたこの街
雪のようにあとからあとから葉が舞い落ちる

空一面の枯葉

木枯らしが吹き抜け
落ちてきた枯葉がからからと舞い上がる
まるで初めてみる秋の風景に
凝固した私の心はかすかに緩み始めていた

厳しい自然が人の営みを覆い尽くす
私はこの地でたった一人立っている

       *

目に浮かぶのは日本の秋
小さなもみじの葉は山を燃えるように紅に染め
銀杏の木は黄金色に輝く
静かな美しい自然
やさしい光

遠い故郷の限りない繊細さを
ひとつひとつ思い出しては
その幻を追う

離れてみて初めて愛に包まれた私であったことに気づく

彼の面影すらも探しようのない街に暮らし始め
降りしきる枯葉の舞う音を
この胸に重ねながら
自分を取り戻す日々を過ごした青春のとき

         *

今、やさしい秋の深まりの中で
あの枯葉舞う街を想う

一人で生きることを覚えた
せつなさに満ちた街

枯葉の降りしきるあの街を、、、


 -武蔵野式部-


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 [心根(こころね)]


あなたからの最後のメールは
一言 大きな文字で
「止まるな」
まっすぐ前だけ見て歩けと、、、

あなたの言葉に
どれだけ救われたか知れない
私の女心

もう少し甘えていたい自分と
このまま甘えてばかりいられない自分と
はらはらと舞う枯葉が
季節の変わりを告げる
あなたのせつない優しさを胸に
枯葉を踏みしめる
冷たい風に
より胸を熱くして

いつか、必ず、、、と、、、


 -天の羽衣-


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[ぬくもり]


時折 ふと
あのぬくもりを
想い出すことがあります

こんな晩秋の夕暮れ
真っ白な季節を予感する

木枯らしが
街を通り過ぎるような
そんなときは

あの
ひだまりの中で抱かれて
そして それだけで良かった時間を
想い出すことがあります

けれど
気付いてしまったから
あの頃には
戻れないから

このまま

このまま
歩いていきましょう

同じ時代
同じ光
道はひとつ
二人だけの幸せなんてないから

ただ命のままに

そしてまた
会いましょう

もっと季節が巡ったら
もっと二人が変わったら

いつかまた

きっとまた
抱き合おうね

融け合おうね


 -相模野小町-


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[ 僕にできること〜東京風景3 ]


――どうしたの?
――え?
――何か辛そうな顔してる
――今日はほんとに疲れちゃった
――仕事 相変わらず忙しいんだ
――うん これからますます忙しくなりそう

鍋に入れた具をつつきながら
君の表情が気になって
いろいろ話をしていても
今日はちっとも楽しそうじゃないね

疲れてるのは見ればわかるさ
僕は君といるだけで楽しくて元気になるけど
君にとって 僕はそういう存在じゃないのかな
急に寒くなってきたこの頃
冷えてきたのは体だけじゃないのかな

なかなか煮えてこない具をつつきながら
何とか君のこと元気にしたいと思う
でもどうすればいいというのだろう
今の僕に何ができるだろう

どこかに遊びに行くか
でも それが本質的でないことわかってる
我を忘れて遊んだあとに戻ってくる空虚感
ラジオでどこかの女の子が喋ってた
彼氏とどこかに行くのは思い出作りだって
僕は君と思い出作るためにここにいるわけじゃない

それでも一応言ってみたりする

――この後どっか行く?
――どっかって?
――んー カラオケとか?
――ううん 明日も朝早いし

やっぱり自分でもダメだと思ってる提案はダメだね
多分僕より仕事してる君の前で自分がバカらしくなる

それなら――
今の僕に何ができるだろう

今の僕にできること
それは今こうして一緒にいることしかないね

僕は君が側にいてくれるだけで幸せだけど
でも幸せって何?
やっぱり
君が幸せでなければ僕も幸せじゃないよね
愛する人を幸せにすること
一緒にいるだけで愛する人が幸せになれる
そんな男になりたいものだと思う
君にとってそういう存在でありたいと

――おいしかったね
――おいしかった
――あ やっぱり外は寒いね
――寒い

店の外に出ると相変わらずの冷たい風
でも きっと君の心
暖かくしてみせるよ


 -出雲頼通-


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「恋歌」第32回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.11.28 「恋歌」第32回発行号


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