:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第29回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、29回目の発行です。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第29回発行号は、
「深まる秋」をお届けいたします。


急激に腕の中に落ちてきた秋。

木漏れ日に揺れる葉々、
ひやりと澄んだ風の流れ、、、

こぼれ落ちる砂時計のように
優しく脆く、季節は刻まれていきます。

とどまらず深くなる秋への溢れる愛しさを、


どうぞ、ご賞味ください、、、、


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 相模野小町     [深まる秋 序章]

 出雲頼道      [そんな秋の日曜日]

松ノ木大宮八幡娘  [ゆめかうつつか]

 武蔵野式部     [深まる秋 あなたと]

天の羽衣      [秋にだかれて]


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[深まる秋 序章]  


突然、
静かになるときが来るのです

あんなにも艶やかに
あんなにも煌びやかに
身を焦がし燃えあがり
そんな季節も

気がつけば
急激に色彩を変えて

風も空も木立ちも
色彩を変えて

静かになるときが来るのです

しんとして深くなる
身体の奥の
見えなかった扉が開くのです

そうして扉があいたら
もうすぐ
しだいに色が見えてくる
今まで気づかなかった
たくさんの色

その色の深さに
言い知れぬ悲しみと
至福の予感が交錯して

あなたとわたし

深まる季節(とき)の訪れです

-相模野小町-


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[そんな秋の日曜日]


いつしか 夏に強い日差しで照りつけた太陽も
遠くにぼんやりとした光を投げるだけとなり
強い青色を僕らの頭の上に押しつけていた空も
遠くやや鈍色を帯びて空気も薄くなったよう

そんな秋の日曜日の午後 僕は一人

あなたにはずっと会えない日が続いていて
会えないのは辛いから
何もかもが僕から去っていくように思える
この秋には特に辛いから
気を紛らわすかのように
いろんなことに手を出したりして

でも いろんなことに心は移っても
結局はあなたのところへ帰ってくる
心の中で「ただいま」を言うように
何の用事もないけどあなたにメールを入れる
返事なんてくれたことのないあなたに

秋の日曜日の午後 僕は一人

そう思っていたら あなたからの返事
何てことない短い言葉の外に
ふーっとあなたの気持ちが伝わってきた
体中に熱いものが溢れてくる

秋の日の日曜日の午後 僕は一人じゃない
離れてはいてもあなたがここにいてくれる
そんな

そんな秋の日曜日の午後……

-出雲頼道-


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[ゆめかうつつか]


なにもない
でも
ひとつのような

そんな気もする
なにもかもと

細胞を越えて
あふれてしまう意識を
ただ
感じていた
なにもないところで

あなたもいない
わたしもいない
なにもない
でも
なにかと繋がってる
ひとつみたい

言い知れぬ心地よさ
波紋のように拡がって

泡菓子みたいなもろさで
溶けてった なにもかも

崩れてく どこまでも
快は 止まらない

いつまでも
どこまでも

光溢れて流れゆくもの


やすらかに微笑んでるような
そんな絵を見た気がした

部屋に差し込む
木漏れ日の中で

-松ノ木大宮八幡娘-


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[深まる秋 あなたと]


あなたに好きと告げたのは
静かな秋の夕暮れ時
車を走らすあなたの横顔を見詰めながら
「たまらなく好き」な気持ちが溢れてくる
私はどうしたら良いものかと
高まる胸の動悸を内側で聞いていた


あなたの横顔から目をそらせ
前を見ると
窓の外には黄金色に輝く夕日と
木立のシルエットが続いていく

車が走る毎に紅(くれない)が増し
夕空がこんなにも美しいものなのか
こんなにも切ないものだったのかと思う


愛しさに堪えきれずことばが溢れてきた
「好き、震えるくらい好き」
しばらく静かなときが流れ
「うれしいよ」とぽつり

あなたはゆっくりと私の方に顔を向け
微笑んでくれた
なんと答えたらいいか私は解からなくて
ただただ黙って微笑み返した


どんな事があっても
この時の事を忘れないでいよう
冷たい風が吹きすぎても
冬の嵐に凍えても

あなたに心通じたこの喜びで
やっと私は生きて行ける

あなたにそう伝えたかったけど
涙が溢れてきて
あとは言葉にならなかった、、、

紅に燃ゆるような秋の空がにじみ
喜びは身の内の奥深く広がっていった

-武蔵野式部-


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[秋にだかれて]


秋田平野をわたる風 
やさしく身体の中を吹きわたる 
秋桜がゆれ とんぼが群れ飛ぶ 
落ちてゆく日の光にすすきは輝き 
空は果てしなくつづく  
夜は虫の声も消え またたく星たち  
同じ星を君も眺めているのでしょうか 
ひとり故郷の自然にだかれ 時を忘れる 
静かに静かに深まりゆく秋
澄んだひととき 
君を夢みたい

-天の羽衣-


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「恋歌」第29回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.10.17 「恋歌」第29回発行号


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