:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第28回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、28回目の発行です。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


第28回発行号のテーマは「恋文」。

好きになった人へ、今恋仲にある人へ、
あるいは別れてしまったかつての恋人へ――
様々な出会いと別れの中で
今心に懸かっている人への気持ちを綴る恋文。

「恋歌」の歌人たちはどんな恋文を綴るのでしょう。

どうぞ、ご賞味くださいませ、、、、


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 松ノ木大宮八幡娘  [ 恋文 ]

 武蔵野式部     [ 貴方への手紙 ]

 出雲頼通      [ K――に ]

 天の羽衣      [ 無口な君へ ]

 相模野小町     [ 恋文 ]

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[ 恋文 ]


頬をなでる涼やかな風の中で
大自然の麗しい空気の中で
宇宙にまで通じる音の中で
湧き出てくる気持ち
あなたがすき

外側をはずしてはずして
サラリーマンも
良家の一人息子も
自転車すきなことも
29才も
かしこい頭も
鍛えた身体も

何もかもはずしてはずして

今、君に逢いたい


 - 松ノ木大宮八幡娘 -


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[ 貴方への手紙 ]


貴方へ

この間、久しぶりに貴方をおみかけしました。
沢山の知らない人たちがすれ違う町並みで、
懐かしい貴方の姿を見つけた時、私の中にあった、切なさや痛みは瞬時に消え、優し
い、温かい気持ちが溢れてくるのに私は少し驚きながら、過ぎた時の長さをかみしめ
ていました。

私は立ち止まり、静かな気持ちで貴方の姿を遠くから見詰めていました。

貴方は変わらず元気でいるのですか?
新しい暮らしの中で、きっと新たな喜びが
貴方の胸をふくらませるのでしょうね。
貴方も苦しいときを経て、歩きだしているのですね。

それでも時々は、私の事を思い出す事がありますか?

貴方と語り合った日々、
めぐりゆくいくつかの季節に、
貴方と笑いあった最良の時、
愛を交わし合った幾つもの夜。

私は時折、いとおしく、その美しい時々を思い返します。まるで神様がくれた贈り
物。二度と帰らない優しい時を。

私には気ずかぬ様子で歩いて行く貴方の姿を見届けながら、私もまた私の道に帰って
きました。

いつの日か、また貴方に会う時が訪れるなら、
きっと貴方に告げようと、こうして貴方には届かぬ手紙を書いています。

ありがとう。貴方の事が好きでした。

さようなら。

いつの日か会えるときまで。


 - 武蔵野式部 -


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[ K――に ]


K――に

久し振りに恋をしてしまいました
あなたが好きです

もう恋なんてしない
ずっとそう思って生きてきました
運命的と思える出会いに心躍らせては
いつの間にか 気持ちがすれ違い 別れる
そんなことを繰り返しがいやで
もうこれ以上 傷つけるのも傷つくのがいやで
恋なんてしない 人なんて好きにならないと
決めて生きてきました

でも だめなんですね 出会ってしまったら
先がないとわかっていても芽生えてしまう
この気持ちは一体何なのでしょう

これは恋なんかじゃない
ただ他の人より少しだけやさしい気持ちになってるだけ
あなたが好意を示してくれるのだっていつもの勘違い
性格も全然違うし 自分には不似合いな人だと
そう自分に言い聞かせ 思い込もうとしていました

それでも だめなんですね 頭で思い込んだって
日に日にあなたの存在が僕の中で大きくなって
仕事していても 電車を待っていても 本を読んでいても
そう 誰かと会って話をしていても
あなたのことを考えている自分に気づくのです

こうして独りあなたを想う時間はとても長いのに
あなたといる時間はあっという間に過ぎ去ってしまうのです
もっとあなたに話したいことがあるのに
もっとあなたに聞きたいことがあるのに
もっとあなたとしたいことがあるのに
そう ずっとあなたと一緒にいたいのに
時の神は何と残酷で意地悪なのだろう

時間が限られているからこそ
次はいつ会えるかわからないからこそ
あなたの存在は僕の中でかけがえのないものとなり
あなたを恋う気持ちがますます強くなっていくのです

そんな気持ち あなたは迷惑だと思うでしょうか
それでも それでも

久し振りに恋をしてしまったのです
そう あなたにです
あなたが好きです


 - 出雲頼通 -


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[ 無口な君へ ]


始めてあった時
みんなの中でず〜っと無口なままの君
君の声が聞いてみたいと思った
はじめてふたりで帰るとき
電車を乗り間違えて笑ったね
そして、いつかケーキを持って
君の部屋を訪れた
君のベットの上でふたり話したね
こどもみたいなふたり
いつか君は私の中に入ってきて
私を驚かせた
あまりに澄み美しい命
でも、生きる喜びがなくて命危なかったね
あれから何年たっただろう
君の命に新しい光が生まれたね
生きる喜びの光
そうして君は男になったね
うれしかった
会うたび胸がときめいた
始めて会った時よりず〜っとすき!
でも、こどものようなふたりにはもうなれないね
今度出会ってしまったら・・・・・
君に会うことが少しこわい私です


 - 天の羽衣 -


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[ 恋文 ]


誰と話すより楽しい
けれどわかり合えないときは
だれに対するより腹が立つ

わかり合えるまで憂鬱が続く
それほど私に影響するひと

誰よりも
わたしに会えることを喜ぶ人
わたしといることを喜ぶ
わたしが喜ぶことを喜ぶ人

あなたに言いたい放題言っているようで
実は繊細なあなたを知っているから
ほんとはいつも気にしている
あなたの顔色を気にしている

怒ると悲しいから
傷つけると悲しいから
わたしの胸も辛くなるから

大好きだから

何がなんて言えない
どこがなんて言えない

しょっちゅう呆れるけど
しょっちゅう腹立つけど
それでも
好きなこと変わらないわたしを
あなたは不思議がるけど

変わらないよ
ただ、もっと好きになるだけ
色んなこと乗り越えたら
ただもっと仲良くなっていくだけ

あなたへの恋文は
ほんの少しの言葉で足りる

あなたがいてくれて
ありがとう
この世に生きていてくれて
ありがとう


 - 相模野小町 -


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「恋歌」第28回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.10.3 「恋歌」第28回発行号


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