:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第26回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、26回目の発行です。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第26回発行号は、
「男と女の物語〜恋人達のダイアログ」
をテーマにお届けいたします。


恋の季節、秋にむかって虫の鳴き声が
美しい音楽のようですね。

さてさて、恋人達の間ではどんな物語があって、
どのような言葉が綴られているのでしょうか?


こうして耳を澄ませば
ほら、、聞こえてきますよ、、、


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 天の羽衣 [誕生日 2]

松ノ木大宮八幡娘 [芳醇なワインのように]

 出雲頼道   [東京風景]

 武蔵野式部   [東京風景 2]

相模野小町   [夜の辺に]


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[誕生日 2]

「お誕生日、何がいい?」
「カラー写真がいいなぁ!」
「私の写真のこと?」
「うん。写真」 
「だって 白黒のほうが若くみえるでしょう。 わざわざ 白黒にしたの 。
君わかいんだもん!」
「中身は皆骨だ。関係ない!」
「中身は骨でも 女心ってものがあるの!」
「じゃモノクロでいいからヌード」
「ヌードなんて 1枚もないよ!もう(笑)」
「昔の写真でいいからさぁ スリスリ ひきのばしてかざるぅ」
いつもいつも、私を喜ばせてくれる
君の言葉
ねぇ、骨まで愛してくれる?
君の誕生日
君が私にくれた言葉をそのまま送る
「生まれてきてくれてありがとう」

天の羽衣

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[芳醇なワインのように]

「今日、ご飯食べに行く?」
「ううん、私服持って着てないし」
「荷物渡しに来ただけ?
30分ドライブ連れてってくれる時間ないかな?」

2年前からの今の住まい
このエリアの宅急便ドライバーには
ほんと閉口してしまう
いつも荷物持ち帰られちゃう
がんばって早く仕事切り上げて帰っても
いつも間に合わない
そんな時、いつもあなたを思い出す
お客さん帰ってくるまで家の前で待ってたり
電話くれば時間外でも持っていってあげる
そんな人

久しぶりにメールした
今週どっかで逢おうと約束してた
受け取れなかった荷物
あなたにお願いしちゃった

2年ぶりのあなたの車の中
少し変わった何かを感じる
それより強く
変わらぬ何かも感じる
あなたの醸し出す
変わらぬ色気

密室の強烈な色気の中で
何事もないかのように
ひとしきりドライバーへの文句を言う私
笑って聞いてくれるあなたに
怒りはふっとおさまる
「あなたに甘やかされちゃったのかな、私。」

近所を一周して家の前に着いた
「変わらないわね」
「きみも変わらないよ」
「ありがとう、じゃ・・」
ドアに手をかけた私に
あたりまえのようにキスをするあなた
「だめ・・よ。お友達なのに」
「そう、おともだちなのにね」

変わらぬ余裕の笑顔
思わず
その頬を
掌でなぞる
あの頃のように

そしてまた
くちびるを重ねた
やっぱり変わらない
変わりようがない

時が経っても
あたらしい恋がはじまっても

理屈は
あなたの前に
崩れ去る

松ノ木大宮八幡娘

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[ 東京風景 ]

――どこにしようか。
――どこでもいいけど。

新宿の街は相も変わらぬ騒がしさで
僕らを迎えてくれた

楽しいことも いやなことも
思い出があまりに多過ぎて
どちらかというとあまり来たくはない街

でも 君と一緒なら別さ
同じ風景も全く違って見える

――ほんとはあそこがいいんでしょ。
――うん。
――あそこにする?
――いいよ。高いもん
――ちょっと無理しちゃおうかなぁ、と思ったりもするけど
――後が困るでしょ。(笑)
――うん。後がね。(笑)

それでもいいんだ とは思いながらも
結局はあまり気持ちの負担にならない
気軽なイタリア料理店に入る

――あたしね、新宿の高層ビルって好きなんだ
――うん。
――夜景を見ながらワインを傾けて、なんて。(笑)
――バブリーだねぇ。(笑)
――そう。(笑)

君の顔を見つめながら
その後ろの窓に映るデパートの看板を
道を行き交う人々を
規則的に流れていく車を見つめては
思う

結構きれいな街だよな

――でもね、僕も最近気づいたんだけど、結構きれいだよね、東京の夜景。
――でしょ。
――きたない、って思い込んでるじゃん。ごちゃごちゃしてるみたいなイメージあっ
て。だけど、高層ビルからとか、首都高走ってても、きれいなんだよね。
――そうなの。

僕は君と一体何を喋っているのだろう
他愛もない会話
こんなこと喋ってたって……

ううん そうじゃない
大事なのは今君とこうしていること
無慈悲に流れていく時間に逆らうように
君と過ごすこの一瞬一瞬が貴重なんだ
時計なんか見るもんか
電車がなくなったらそれまでさ
一秒でも多く君と一緒にいたいもの

――人って一番元気になれる場所ってあると思うのね。
――あるね。
――そういう所に住んだり、そういう所で働くのがその人が一番輝けるし、他の人の
役にも立てると思うの
――そうだね。
――あたしの場合、新宿の高層マンションなのよ。
――やっぱりバブリーだな。お上りさんだからな。(笑)
――そうよ、所詮田舎もんだもの。(笑)で、あなたはどうなのよ。
――僕は銀座、かな。(笑)
――やっぱりお上りさんじゃない。(笑)でも銀座って何か違うよね。
――違う。

人はどうしてこの都市(まち)に集まって来るのだろう
ふとそう考えると答はひとつしかないように思える
成功して 幸せをつかむこと
そう 幸せにならなければ ここにいる意味はないのだ……

君と過ごす楽しい時はいつも早く過ぎてゆき
やっぱり電車はなくなった
タクシーを拾うと 西口の高層ビル群を抜けてゆく

――こういう所に住みたいなぁ。あと3年後位には。
――3年? 僕はそんなに待てないな。半年後にしよう。
――半年? 半年でそうなれるかなぁ。
――そうなれるように仕事、頑張ろう。早くそういう所に住めればそれだけまたいい
仕事もできるしね。
――そうだよね。半年、半年かぁ。
――君は新宿に、僕は銀座に……。

聳え立つビルの群はどんどん背後に遠ざかり
二人を乗せたタクシーは 国道20号を西へ


出雲頼道

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[東京風景 2]


あなたと会える日
心待ちにして
心ときめいて

待ちにまった日


「どこにいきたいんだ」
「どこでもいいよ」
「それじゃわかんないよ」
「うーーんとホテルとか」
「ん、?」


「今日はドライブしようか」
「うん」
「どこに行く?」
「このまま乗っていられればいいの」
「それじゃこの辺をくるくる回るのか?」
「それでもいいけど、あ、、あそこにホテルがある、、!」

「こんど海に連れていってやるよ」
「わ!海に行ったら海辺のホテルにいこうね」
「ん、、」


「私行きたい所があるの」
「ホテルだろ」
「あたり!」
「、、、ほんとにホテルしかないのか、行きたい所」

ちがうの
私はあなたと時を過ごすのが好きなの

どこかに行きたいんじゃない
何かを見たいんじゃない
遊びたいんじゃない

ただあなたと一緒にいたいだけ
二人だけの時を過ごしたいだけ

だから、どこにいてもほんとはいいの
あなたと触れ合うことができれば

あなたと体を合わせていれる時が
一番の幸せなの

会うたびに繰り返される
このやりとり
いつも笑ってしまう二人のものがたり

「お姫様、、どこにまいりましょうか」
「うーーんと、、」
「ホテル!」


武蔵野式部


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[夜の辺に]

あなたと出会ってから今までに
いったい、どれだけの話をしたのかしら

恋が始まったころ
まるでのどの渇きを癒すように
息もつかずに
お互いの言葉を飲み干していったね

時を忘れて語り合う
そんな夜を重ねかさねて

何を話しても
楽しかったね

永い時を寄り添ううちに

いつしか
言葉が削ぎ落とされる

ただひとことが
胸に落ちて広がるようになる

――綺麗だね
――うん、綺麗だね

――楽しいね
――うん、楽しいね

――おいしいね
――うん、おいしいね

ただひとことで
優しくなれる

短い言葉を交わしながら
満たされていくひとときが好き

好きって未来を共に生きること

このまま一緒にどこまでも
見えない未来に向かっていける

――ありがとう
――またね

いつも今から未来だけ
愛しいあなたと
おやすみなさいを告げあう夜の辺に

胸を満たすただひとことを
抱きしめている


 相模野小町

*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'


「恋歌」第26回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
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2002.9.5 「恋歌」第26回発行号


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