:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第24回 * * *

こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、24回目の発行です。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

あっという間に夏休みも半分が過ぎ、お盆ももう間近となりました。
お盆には先祖の魂が帰って来るとされていますが、もともと日本人は
恋にしても性にしても、魂と魂とで出会っていたと言います。

そこで、第24回発行号のテーマは、《 通い合う魂 》。
魂と魂とが呼び合い、出会い、通い合っていれば、
時間と空間を越えた素晴らしい何かが起こるようです。
その何かとは……。

時空を越えた魂の通い合いをご賞味下さいませ。


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[ こいをして ]     松ノ木大宮八幡娘

[ 古(いにしえ)の人 ]  相模野小町

[ 逢瀬 ]        天の羽衣

[ 時空を越えて ]    出雲頼通
 
[ 松陰神社にて ]    武蔵野式部


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 [ こいをして ]


恋をして
その乞いは
ひとつになることをめざす
抗えぬほどひきあう
ふしぎなちから
一体となるべくはたらく
求心力
ふたりの身体さえも超えた何かと
結ばれようとする力


-松ノ木大宮八幡娘-


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 [ 古(いにしえ)の人 ]


深緑に護られた
静かなる祠の前に立ち

遠い古から生きる貴方に逢う
                                     
こんなにも
胸が狂おしく込み上げる

貴方の存在が
身体でわかる

あなたの魂に恋してしまった私の
どうしようなく女である姿

貴方からの
溢れる愛を身に感じ

感じながらも
それ以上に愛してしまった己を知る

ひとときの訪れに
突然に
霧のように
通り雨は降りそそぎ

降りしきり

やがて
煌きの陽が射し
藍色に抜けゆく空

高い樹々の彼方に
白雲は切れ切れに散り

枝々から覗く藍の空を
遥かに駆けて
流れ流れる

太古から続く
大自然のいとなみ

つかの間に全て見せる
あなたの心

静寂の緑は優しく濡れて
陽を纏う祠は
いよいよ美しい

時を超えた命と命

ひとりの女として
男である貴方に抱かれる時間

光に包まれ
愛される無上の幸せに

生身の貴方と
こうして逢えたらと
どんなにか切望する

いつの日か
身体ある貴方と逢えたらと  


-相模野小町-


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 [ 逢瀬 ]


澄み切った空気
立ち込める朝もや
ビロードのような苔

思いもよらず
突然私を抱きしめる
貴方は私を知っていた
私が来ることを知っていた
貴方に抱かれ
貴方の広がりとともに
すべてのいただきを観る

やわらかなぬくもりに
こうして守られてきたのだと知る

修験者たちが驚き手を合わす
何もなかったかのように
細い山路を歩き出す

貴方と共に観たいただきは
今、日の光を受けて
輝き始めた


-天の羽衣-


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 [ 時空を越えて ]


重い空気が僕の全身を覆い
とても先に進めそうにない時
思わずあなたの名を呼んでしまう
まるでそこにいるみたいに
あなたの声が聞こえる

どうしたらいいのだろうと
思い悩んでしまう時
思わずあなたに聞いてしまう
あなたの声はいつものように明るく
全ては解決してしまう

心弾むような楽しいことを
誰かに伝えたくて仕方がない時
思わずあなたに語りかけてしまう
あなたは笑い そしてその声に
僕はますます幸せになる

周りの人間誰一人わかってくれなくて
孤独と淋しさに落ち込む時
思わずあなたの名を呼んでしまう
そう あなたはいつも一緒にいてくれる
どこにいても一緒に

あなたの気持ちが時空を越えて
僕の心に伝わって来た時
会えないことの不安も 焦りも消え失せた
そう あなたはいつも一緒にいてくれる
どこにいても一緒に


-出雲頼通-


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 [ 松陰神社にて ]


あまり知らない町並みを歩きながら、
そういえば、この町には貴方の名前がついた
神社がある

ふっと立ち寄ってみたくなり
静かですがすがしい神社を尋ねた

貴方が祭られている神社

灰色の雲から
ぽつりぽつりと雨が降り出した
傘を差しながら
奥に向かって歩いて行くと
緑に包まれ苔むした墓地が見えてきた

一足一足近づく度に
貴方に触れるような気がして
体全部がその優しさに包まれて
自然と涙が零れてくる

貴方に会いにきました
貴方の御霊に会う為に
ここにこうしてまいりました

静かに眠る貴方の魂にふれ
涙は止めど無く流れ落ちる

その時灰色の雲が切れ
日が射してきた
優しい雨が
射し込んだ光に輝き
こんなに美しい雨を私は見た事が無かった

緑が光りに反射し、雨が輝いてゆく、、、

ありがとうございます
貴方はこんなにも優しく
そして純粋な魂のまま
こうしてここにおられるのですね

私たちに日本の国のこと
人の生きる道を教えて下さっていたのですね

いま貴方の教えを体で受け取った私
貴方の魂
貴方の生き様をこの身で確かめ
明日に生きてゆきましょう

緑輝く雨にまみえ
時を超え伝わってくる魂を抱きながら
貴方と共にいた尊い時

いつかまた
かならず貴方に会いにまいります


-武蔵野式部-


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「恋歌」第24回号いかがでしたでしょうか。


「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.8.8 「恋歌」第24回発行号


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