* * * 第23回 * * *
こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、23回目の発行です。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
第23回発行号のテーマは、《 夏の風景 》です。皆様の夏の風景はどんなで
しょう?
さまざまな恋の風景を、ご賞味くださいませ、、、
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'
[ 君のいない海 ] 出雲頼道
[ 夜の海 ] 天の羽衣
[ 花火 ] 武蔵野式部
[ 夏祭り ] 松ノ木大宮八幡娘
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'
[ 君のいない海 ]
どういうわけか 友だちと来ることになった
この海
この海は君がいつも言っていたところだね
お婆さんの家が近くにあって
毎年行く海だって
ここを語る時の君の瞳の輝きに
この海の美しさを思い描いていた
エメラルドグリーンに輝く
透き通った水の美しさ
ほんとにきれいだね
あの街からそんなに遠くないところに
こんな海があったんだね
だけど
今 君はここにはいない
君と来たかったな
この砂浜を君も歩いたのだろうか
この岩場に君もよじのぼったのだろうか
あるいはここから飛び込んだりして
そして
この海の水が君の体を洗ったのだろうか
友だちと遊んでいても
結局ずっと君のこと考えてる
そう
今 君はここにはいない
君と来たかったな
またお盆が近づいたら
君はここのお婆さんのところに来るのかな
その時だったら一緒に来れるかな
ううん
それまで待ってられないね
今度一緒に来よう
この海に
君の好きな
この海に
-出雲頼道-
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'' *' *' *' *' *' *
[ 夜の海 ]
暗闇を照らすかがり火
波の音が静かに聞こえる
かがり火に映し出される顔
ただの男と女になる
静かに体で対話する
体が波になり
海になる
あかあかと燃えるかがり火は
静かに静かに燃えつづける
あなたの体を
私の体を確かめた
夜の海
-天の羽衣-
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'' *' *' *' *' *' *
[ 花火 ]
あなたから届いた絵葉書
百連発の花火が伸びやかに夜空に咲いている
遠い日の花火
子供の頃、心待ちした夜
雪深い国のつかの間の夏
信濃川にかかる花火は
空一面に開いて
舞う雪のように
はらはらと静かに落ちてくる
亡き人たちの命の華が咲くように
ぱんっと燃え
きらきらと輝きながら消えてゆく
私はかすかに悲しみに満ちた
はかなく美しい光を
いく年もいく年も
見つづけてきた
夏の夜にあやなす光の花
その花を繰り返し咲かせたい
この恋の行方と同じに
いつまでも消えぬ事を祈りながら
-武蔵野式部-
.
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'' *' *' *' *' *' *
[ 夏祭り ]
おどり 踊る
うたい 跳ねる
太鼓の響き
兄さの掛け声
流れる汗に
その息遣いに
胸焦がす
夏祭り
どうしようもなく
胸騒ぐ
この日ばかりは
伊達男
いとし こいしや
夏女
おどり 踊る
くどきの血筋
波あらわす三味(しゃみ)の音
うたい継がれた港歌
しなつくる艶姿
恋しあんたに見せとうて
恋に酔う舞姿
足さばきの仇っぽさ
いくつになっても
恋女
胸躍る
夏まつり
-松ノ木大宮八幡娘-
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'' *' *' *' *' *' *
「恋歌」第23回号いかがでしたでしょうか。
「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。
わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。
恋歌・返歌・ご感想などのあて先は・・・
info@koiuta.jp
恋歌のホームページは・・・<バックナンバー掲載有>
http://www.koiuta.jp
2002.7.25 「恋歌」第23回発行号