:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * * 第19回 * * *

こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、19回目の発行です。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

さて、
第19回発行号は、
「雨」をテーマにお届けします。

優しい雨、悲しい雨、寒い雨、爽やかな雨、嵐のように通り過ぎる雨、
あなたに降る雨はどんなでしょう?

どうぞ、ご賞味ください、、、、

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出雲頼道 [雨〜雨あがり]

松ノ木大宮八幡娘   [五月雨(さみだれ)]
  
  天の羽衣       [雨夜]

  武蔵野式部 [青紫の雨] [虹]

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[ 雨〜雨あがり ]

雨が降る
雨は嫌い
ただでさえ憂鬱な気持ちの僕を
これでもかと更に沈ませる

雨が降る
雨は嫌い
どんよりとした鉛色の空
締め切った部屋の閉塞感

雨が降る
雨は嫌い
傘なんて持つのも面倒さ
仕事が終わるまでに已まないだろうか

雨が降る
雨は嫌い

雨が降る
雨は嫌い

その時 突然 携帯が鳴る
大好きなあなたからだ
聞き取りにくくて外に出る

何てことはない話題
それでもあなたの声を聞くと
心が和み 晴れやかになっていく

あれ いつの間にか已んでたんだ
雲はオレンジ色に照りかえり
切れ目から鮮やかな光が射す
ごちゃごちゃした東京の街の家やビルが
きらきらとみずみずしく輝き出す
庇から垂れる滴の何と清らかなことか

この美しい瞬間
全てが清められる瞬間
この瞬間のために雨があるのなら
僕はもう雨を厭うまい

それにしても――
どうして僕の気持ちと天気と
こうも重なってしまうのだろう……

-出雲頼通-


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 [ 五月雨(さみだれ) ]


気まぐれな恋をして
雨風のそよぎに
身をゆだねるひととき

あなたを想ってしまう

雨音のリズムはきもちよくて
物想い 胸わずらい
止みそうもないこんな夜

胸に懸かるあなたの存在
こんなにおおきくなってしまった

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

もう そんなに
みつめないで

もう そんなふうに
かまってこないでよ

若い無邪気さと
仕事を覚えた男の誇らしさと
みなぎる自信が輝かしい人

いとしくて もう 
ただそれだけ

ふりむけば
あなたがいるという環境

すれ違うときもある
目を合せることも出来ずにいる

いい大人が恥らう年頃かと
可笑しくなるけど
親密さ濃くなるほど
人前で直視できない

ことばのやりとりだけの関係
ないしょのないしょの
あそび仲間

でもね
つい 
あなたの裸体(からだ)に
ふれてみたくなるの

席立ち上がって
抱きしめに行きたい衝動に駆られてしまう

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ずっと降り続く
五月雨を聴きながら

関係のバランス崩すだろうある一点を
しずかに狙い定めている

一人で過ごす夜更け

-松ノ木大宮八幡娘-

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  [ 雨夜 ]

肌寒い雨の中
雑踏であなたの声を聞く
私の耳元で話しつづける
なんて気持ちのいい
すべての音が消え
あなたの声だけが
私の中に響く

しとしとと降る雨に包まれて
澄んだあなたの声に
遠い記憶と今がひとつになる
この雨が上がるころには
過去も青く晴れ
一粒のしずくも光を放つでしょう


  -天の羽衣-


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  [ 青紫の雨 ]


紫陽花の青紫に目を奪われる
思わず振り返り
立ち止まった私

雨に濡れた緑の葉と
その深い青紫の花の色が
私の心にしみわたった

胸の奥に広がるその色に癒されながら
ふとよみがえった
悲しみ

あなたが好きだった

あなたと生きてゆきたかった

人と人にはかならず別れがやってくる
どんなに好きでも
どんなに愛していても

そう、、
かけがえのない一時を
あなたと過ごせたんだから

その美しい瞬間が
私のこころにあることを素直に喜びましょう

涙が流れてきても
きっと雨が一緒に
私を洗い流してくれるでしょう

深い優しさを持つ
雨に濡れた紫陽花の花

この花のように生きよう


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

[ 虹 ]


雨が降り出した
雷が轟き風が吹く

ここは青山のはずれの小さな公園
何故か
遠い故郷に届くように詠うムスリムの声が
響いている


今日はマホメットの誕生日


まるで恵みの
雨 雨 雨
細やかに降り注ぐ雨

空の半分は晴れ渡り
透き通った光が射している
緑の木々に輝く雨が踊る

風が渡り雨あしがゆれる
何と清々しく
体の中を通りぬけるのだろう

コーランを詠む声が響く
美しい流れるような声
まるで異国の地のように

ふと風がとまり
雨がやみ始め
青い空がひろがってゆく

その空に大きな虹がかかった

爽やかな希望の虹
幸せの虹

あなたも今
この虹を見ているだろうか

 -武蔵野式部-


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「恋歌」第19回号、如何でしたでしょうか。

「恋歌」は、隔週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。

わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.5.30 「恋歌」第19回発行号


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