:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第16回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、16回目の発行です。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。

これから、様々な企画をしていきますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第16回発行号は、

12回号で登場し、皆様から大反響をいただいた
出雲頼道さんより、
前回号の「約束」への返歌が届きました。

他三作品とご一緒に、
みなさまにもご紹介させて戴きます。


どうぞ、ご賞味ください、、、、


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  出雲頼道    [無駄話]
  
           [海へ]

[言葉]

[一人で生きていけなくて]

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   無駄話

昼休みの社員食堂で
若い女が ちょっと年輩の だけど独身の男に喋ってる
焦ったように次から次へととりとめのない話題を喋ってる
食堂のテレビに映るものに反応してはその話題
自分の家がいかに会社から遠いかという話題
他人(ひと)が聞いたらつまらない話題をしきりに喋ってる
男はただ うん、うん と返事してる

会社帰りの定食屋で
若い男が 連れの女に喋ってる
他に話題を見つけることができないのだろうか
他の客が注文した料理について あれこれコメントを加える
他人(ひと)が食うもんに一々うるせぇな と僕は思う
女はただ ふうん と頷いている

どうして――
どうして無理して共通の話題を探そうとするのだろう
黙っていてもいいのにね
でも 黙っていられないんだね
それは 本当は 言いたいことがあるから

本当に言いたいことは
テレビのことじゃない
料理のことじゃない
ただ
あなたが好きってこと
あなたと 今ここにいて 幸せだってこと

どうして言えないんだろう
一番大事なこと
あなたが好きだってこと

そう言えば――
もしかして――
僕も君に好きだって言ったことはなかっただろうか
知り合って長くなるのに
もしかして無駄話ばかりしてたんじゃないだろうか

今度君に会ったら言おう
――あなたが好き

また君に会う楽しみが増えたね!

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   海へ

休み時間 外に出ると
五月のさわやかな風がなつかしい香りを運んできた
潮の香りだ 海の匂いだ
その風は僕の体の中に流れ込み
毎日同じ事の繰り返しで倦んだ体を
生き生きと蘇らせた
潮の香りに 僕は忘れていた何かを取り戻す

そうだ 海へ行こう
海へ還ろう
二十億年前 僕らが生まれた
あの海へ

君は知ってるだろうか
母親の胎内は海のようだということを
君は聞いたことがあるだろうか
人間 発生の瞬間は誰でも最高に幸せだということを
だからだろうか
僕らが海に行きたくなるのは
新しく生まれ変わるために
幸せとは何かを思い出すために……

君を連れて海へ行こう
海へ還ろう
海へ
海へ
二十億年前 僕らが生まれた
あの海へ――


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 言葉

言葉にできない
誰かがそう歌う声が聞こえてきた
ちがう きっとちがう
本当は 怖いだけ
言葉違ったら 失ってしまう
それがただ 怖いだけ

確かに 心の中にある気持ちを
言葉にするのは難しい
好きだと言ってみても
愛してる 幸せだと言ってみても
そんなありきたりの表現では足りない
言葉はあまりに不自由すぎる

それでも
それでも
言葉にしないでは
この気持ちは伝わらない

他の女友達と同じように
ただ表面的な言葉並べて
表面的に楽しい時間過ごせれば
それでいいかもしれない

ちがう きっとちがう
子供じみたつかの間の楽しみより
もっと深いあなたとのつながりを
永遠を 僕は求めはじめた

言葉は人の関係を変えてしまう
言葉一つで 人はつながり 切れていく
言葉は発してしまったら
もう 元には戻せない
変化を求めながら
変わってしまうことが
とてつもなく 怖い

今のままでいいじゃない
今のままで十分楽しいじゃない
言葉間違えたら それすら失ってしまうんだよ――
これまでのあなたとの楽しい思い出が
過去があたかも未来を保証してくれてるかのように
僕の現在(いま)を迷わせる

それでも どうしても
子供じみたつかの間の楽しみより
もっと深いあなたとのつながりを
永遠を 僕は求める

言葉にできない……
また 誰かが歌う声が聞こえてる
ちがう きっとちがう
本当に愛しているのなら
きっと言葉にできるはず

今度あなたに会った時
この気持ちをどう伝えればいいのだろう
でも きっと言葉にできるはず
この気持ちが真実なら
きっと言葉にできるはず
きっとあなたに伝わるはず

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  一人で生きていけなくて

ずっと一人で生きていけると思ってた
一人で生まれてきたんだし
人はあてにならないもの
ずっとそう 思っていた

だけど
あなたに出会って初めて
一人で生きることの恐れを 虚しさを
僕は 知った

一体 何がどうなってしまったんだろう
あなたが一緒にいない時間が
辛くて 苦しくて
どうしようもなくなってしまって

もう 一人では生きていけなくて
あなたなしでは生きていけなくて
他の誰でもなく
あなたでなくてはいけなくて

もう 僕を一人にしないでほしい
あなたに側にいてほしい
他の誰でもなく
あなたに側にいてほしい
ずっと側にいてほしい……


-出雲頼道-

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「恋歌」第16回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.5.2 「恋歌」第16回発行号


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