:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第14回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、14回目の発行です。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。

これから、様々な企画をしていきますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第14回発行号は、

「春のなごり」をテーマにお届けいたします。

訪れた春を悦び、
花に酔いしれるのもつかの間、
ふと気が付けば季節は確実にめぐり、
街はまもなく柔らかな新緑に彩られようとしています。

惜別の春、
肩ごしにふり返った春のなごりの香を、

どうぞ、ご賞味ください、、、、。


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  相模野小町         [晩春の空]

  松ノ木大宮八幡娘      [晴れた日に]    

  天の羽衣          [花水木]

  武蔵野式部         [緑燃え立つ]


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  [晩春の空]


八重桜満開

幾重にも
命かさねて咲く桜


あなたと暮らした街角に
溢れるように咲いていた

激しい風に浚われてなお
凛として
空に咲き誇る枝々の華宴

ふと思い出す          

すべてが幻想と過ぎたのではなかったと

本当の情熱もあった
ひとときだけは確かだった

何時の間にか
手のひらから擦り抜けてしまう春のように

擦り抜けていった
あなたとの季節を


   
  -相模野小町-

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[晴れた日に]


それにしたって今日から
恋人がいないという日がはじまるなんて

夜中の雨はやみ 風のつよい春の朝
新緑の鮮やかな黄緑も
散る桜の薄ピンクも
高く真っ青な空に流れる白い雲も
陽射しがキラキラ映る神田川の水面も
何もかも眩しすぎて
ちょっとせつなくなる
なんだか素直に喜べない自分がいたりして

何にも変わりはしないと言い聞かせる
彼への気持ちだって
変わりようがないじゃないか

ただ 
今までよりもっと会わなくなるだけ
しかも
しかも永遠に

朝のラッシュの中
すれ違う人がみんな見ていく気がする
朝まで泣いたり笑ったりしながら
さいごのお別れした名残で
よほど瞼が腫れてるのだろうか

ええい 考えまい
がんばって私の脳みそよ
彼とは終ったことを認識しておくれ

もう電話もかかってこないし
あの下町行きの電車に乗ることも
ないんだということを

ただちにインプットして
悲しみから救っておくれ

せっかく
晩春輝やかしく
素敵にはれた日なんだから

-松ノ木大宮八幡娘-

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[花水木]


桜の花がすっかり散った頃
咲き始める 花水木
あなたにさよならしたのは
花水木満開の頃

初めて頂いたお手紙にあった花水木
どんな木なのかと探した
涼しげな木だった
春風に花も葉もヒラヒラ揺れる
心を軽やかにしてくれる木

花が咲いた頃の花水木の林を
私に見せたいと言った
二人で行く日を楽しみにしながら
一度も二人で行くことはなかった

一人で行こうとした
いや、二人で行きたかったのだ
やさしい気持ちで
花水木の林を歩きたかった
この花が咲くのを見る度
まだ見ぬ花水木の林を想う
その林には
爽やかな風が流れているように想えて

-天の羽衣-

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[緑燃え立つ]


私の住む町の駅前にある大きな桜は
改札を出るとすぐに包み込むように
いつもみんなを「おかえり」って迎えてくれる
何年この桜を見て過ごしてきたことだろう
とても親しい家族みたいだ

今年は長く咲いてくれて
そして密やかに散っていた

木々の若葉はかわいい生まれたて
ピカピカに輝いて
みんなそろって
伸びようとしている

風の透度がまし
林を抜けると緑色の匂いが薫ってくる

一番好きな季節

貴方とはじめて車で旅した道
緑色に燃えるような山々を抜けながら
外の若葉の育ち行く力なのか
貴方と重なり溶け合う力なのか
光と風と体の心地よさが渾然一体となって
私は圧倒されていた

自然の大きさとその力の中にいて
みずからの秘めた力が湧きあがってきた

すべてが一つになる幸せ

そんな季節を通り過ぎてきたのに
互いに変わり続けていけなかった

惜別の悲しさと
悔しい想いがかすかに心を曇らせる

そんな私の心にも
緑の風が吹き抜けて満たしてくれる

季節はめぐる

ぴかぴかの
若葉のように
生まれ変わって
きっと爽やかな恋をしようと
風が教えてくれた気がした

さりゆく春を惜しみながら
緑燃え立つ季節へと

-武蔵野式部-

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「恋歌」第14回号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
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2002.4.18 「恋歌」第14回発行号


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