:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜メールマガジン「恋歌」:.。.:*:・' :.。.:*:・'゜

          * * *  第12回 * * *


こんにちは。
メールマガジン「恋歌」、12回目の発行です。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

「恋歌」は、恋に生き、歌に情熱を託した日本人の
溢れんばかりの情緒をいま、現代に蘇らせたい気持ちから、
数人の仲間で始めた企画です。

毎回、テーマに添ってのものを
お届けしています。

これから、様々な企画をしていきますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。


さて、
第12回発行号は、
読者の方にいただいた作品の中から、
出雲頼通さんの作品を特別特集編として
お送りいたします。

「恋歌」の4歌人は女性ばかりですが、
男性である出雲頼通さんの表現は
とても新鮮で、素直で、さわやかで、
心地よく染み入ってくる感じがありました。

皆さんにもぜひ、お届けしたい気持ちで
特集をお送りすることに致しました。


どうぞ、ご賞味ください、、、、。


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出雲頼通特集   [単純(バカ)な男 その1]
          [あなたがいるから]
          [ランデヴー]
          [君の言葉は魔法だね]


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[単純(バカ)な男 その1]


あなたに会えない
あなたの姿を見ることができない
ただそれだけで
悶々とする日々

あなたに会った
あなたの視線はしらっとつれなかった
ただそれだけで
憂鬱になり 自分が無力で
生きている意味さえ失くした一日

あなたに会った
あなたは笑顔で話しかけてくれた
ただそれだけで
体中からエネルギーが漲り
できないことはないと思える一日

何て単純、何てバカな男だろうと
頭では思ってみる
それでもこのバカをやめられない
あなたのちょっとした仕草や一言が
僕のその日を決めてしまう
それほどにあなたのことが好きなんだ

     
   
*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'


[あなたがいるから]


あなたと離れて
あなたの知らない街で
あなたの知らない人たちの中で
働き 過ごす日々

仕事をしながら ふと
背中に気配を感じる
振り返ると 確かにそこにあなたがいたことを
あなたが見守っていてくれていることを 感じる

どこにいようと関係ないんですね
本当に一緒に生きているということは
あなたがいるから
どんな困難なことも 嫌なことも
どんな苦しい刻(とき)も
乗り越えていける
あなたがいるから
あなたがいてくれるから

*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'

[ランデヴー]


月曜日 午後六時
定時はとうに過ぎているのに
職場はますます活気に溢れ ざわめく
午後七時のオンライン停止時間ギリギリまで
受注獲得を目指し 顧客に電話をかけまくる人
端末のキーを叩き続ける人
僕もあなたの会社と打ち合わせの電話何度もが行き来する

午後六時三十五分
ふと気づくと周りには誰もいない
そしてあなたはまだ会社にいるはず
今こそチャンス この時を逃す手はない
あなたの直通番号をプッシュする手が震える
毎日十何回と掛けている番号
目をつぶっても一秒以内に掛けられる番号
だが 今は手が震え 一瞬やめようかと戸惑う

思い切ってプッシュする
あなたが出る

――何度もすみません。実はさっきのとは別件なんですが……。今度一緒に食事 でもしませんか。
――え。

電話するまではいろいろと考えていたのに
何と芸のない カッコ悪い 見え透いたセリフ

――ずっとあなたと仕事を離れたところでお会いしたいと思っていたんです。
――困るナァ。

その後 何をどう喋ったか
ただ あなたに会いたい その一心だった

――じゃあ、明後日午後七時に。
――ええ。

何と最後はOKの返事
振られてもともとと思っていた
それだけに飛び上がる程に嬉しい

水曜日 午前六時四十五分
目覚ましが鳴る前に目が覚める
そうだ 今日という日が
あなたに会える日が来た
今朝は目が冴えている
早く起きた分 身支度も食事も
いつもより丁寧になる

午後三時
ふと不安になり あなたに確認の電話を入れる

――今日お願いしてた件、大丈夫ですよね。
――ええ。

覚えてくれてはいた
でも本当に来てくれるだろうか

午後五時四十五分
帰り支度をしていると課長が呼ぶ

――六時半に常務から呼ばれてるんだけど、その資料を急いで作ってくれないか。 ここんところをこのデータと差し替えてもらうだけでいいんだけど……。

まずい!
それでも断れない
約束があるとも言えない
速攻でやるしかない

午後六時二十分
データを打ち出して課長に渡すと逃げるように会社を出る
駅まで約十分 そこから約束の場所までは電車で二十分位か
今ならまだ間に合う

午後六時五十五分
約束の場所に到着
あなたの姿はまだ見えない

午後六時五十九分
約束の時間まであと一分
あなたの姿はまだ見えない

午後七時
約束の時間
それでもあなたの姿はまだ見えない
やっぱり来ないのだろうか……
一瞬不安が過ぎる

午後七時二分
あなたの姿はまだ見えない
きっと次の電車だ

午後七時六分
改札に溢れる人混みの中に
そこだけ光って あなたの顔が見えた
笑いながら

――ゴメンなさい。緊急の電話が入って、出られなくなっちゃって……。

とんでもない
今 あなたがここにいる
それだけで僕は幸せなんだ

何を喋ったのか もう何も覚えていない
ただ
あなたの笑顔と仕草に見とれながら
幸せな時間が過ぎていった……

その後もあなたは何度か会ってくれました
でも――
僕が突然始めた恋は
あなたによって突然終わりを告げられました
怖れていた別れはとうとうやって来たのです

あなたに会った時間を全部足しても
おそらく一日分にも満たないでしょう
僕の人生からすると
一瞬のはかない夢に過ぎません
でもその夢は あなたと過ごした楽しい時間は
今も僕の中に生きています
ありがとう

今あなたはどこでどうしているのでしょう
どうか幸せな人生を送っていますように

*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'


[君の言葉は魔法だね]


君の言葉は素敵だね
それまでくよくよ悩んでいた
解決が難しいどんな問題も
君の何気ない一言で
あっという間に消えてしまう
まるで魔法みたい

人を好きになるって不思議だね
同じ事を言っても 好きな人が言うと
世界がまるで違って見える
ものの考え方まで変わってしまう
自分の気づかなかった
可能性が開けてくる

いつまでも君に側にいてほしい
君が僕の 僕が君の世界を
いつまでも新しくし続けることができたら
どんなにか素晴らしいことだろう

-出雲頼通-
 


*' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *' *'

「恋歌」第12回特別号、如何でしたでしょうか。


「恋歌」は、毎週木曜日、毎回のテーマに添ってお届けします。
次回をどうぞお楽しみに。。。。


わたし達の恋歌が、あなたの恋の魂に触れたら、、、
あなたの返歌、お待ちしています。
もちろん、ご意見ご感想なども、たくさんお聞かせくださいね。


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2002.4.4 「恋歌」第12回発行号


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